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お知らせ・医療ガイド

2021.06.22

手術について

当院で新しい極低侵襲緑内障デバイス(iStent inject W)が挿入できるようになりました

緑内障は日本における失明原因の第一となっており、早期から適切な治療が必要な疾患です。緑内障治療の選択肢は点眼治療、レーザー治療、手術治療など様々な選択肢があります。緑内障治療の基本は点眼治療になりますが、近年極低侵襲緑内障手術(MIGS:Micro Invasive Glaucoma Surgery)といわれる新たな治療法が開発され、これまでの緑内障治療に変革をもたらしました。極低侵襲緑内障手術(MIGS)の中で、日本で認可されているものとしてiStent®という緑内障の眼圧を下降させるためのデバイスがあります。
 

iStent®の紹介

     
iStent®は2012年にFDAで認可、世界45か国60万眼以上の患者様に使用され、臨床実績豊富な緑内障デバイスです。日本では、2018年から白内障手術と同時に受けることで保険診療が認可されています。
 

iStent®の特徴とメリット

組織への最小限の侵襲

iStent®は、白内障手術のために必要な切開創を通してインプラントされます。微小侵襲であり、新たな切開創は必要ありません。

生理的流出を改善するためのデザイン

房水流出を妨げている組織(線維柱帯)にバイパスを作成するようにデザインされています。従来の流出経路を利用し、自然な解剖学的構造をそのまま残すため、繊細な眼組織への侵襲を最小限に抑え、結膜組織を保護します。

高い安全性

iStent®は、眼圧の下降を必要とする患者様に白内障手術と併せてインプラントする場合に有効です。自然な強膜上静脈圧を利用することにより、低眼圧のリスクを軽減します。

迅速な回復時間

極小侵襲なので手術部位の回復の期間が短く、早期に通常の生活に戻ることができます。

治療成績

臨床試験の結果では眼圧の下降と緑内障治療薬数の低減が示されています。
 

iStent®の作用機序:自然な流出路の回復

iStent®は、内部が空洞になったチタン製の金属(ステント)で、線維柱帯に埋め込むことでバイパスを作り、房水の流れをよくして眼圧を下げるものです。生来の生理学的流出経路による房水流出を改善するようにデザインされています。本デバイスが線維柱帯にインプラントされると、インプラントされた部分を内部から広げて、房水が前房からシュレム管中に流れるようにデザインされています。線維柱帯を生理的に温存することで、自然な上強膜静脈圧である8~11 mm Hg辺りの眼圧を維持し、低眼圧のリスクを最小限に抑えることができます。集合管が存在している部位へのインプラントで、眼圧の下降を得ることができます。

新しい極低侵襲緑内障デバイス  iStent inject W(第2世代 線維柱帯マイクロバイパスステント)

これまでのiStentでは挿入できるステントが1個でしたが、このiStent inject Wでは2個のステントを挿入できるようになりました。2個のステントを同時に留置するので、これまでの1個留置した場合よりも眼圧下降と点眼剤減少効果を期待できます。また、従来のものと比較して挿入しやすく、確実に線維柱帯に埋め込むことができます。

 

長さ360μm*の医療用チタンの緑内障手術用インプラントで、人体に挿入する既存の医療機器の中では最小です。
*1マイクロメートル(μm)は1,000分の1mm

 

保険適応として白内障手術と同時に行うことが前提であり、手術は白内障手術と同時に行います。 白内障手術の際に作成した切開創から専用の器具を用いて、ステントを眼の中の組織に埋め込みます。 痛みを感じることはありません。iStent inject® Wを、眼の中の組織に留置することで、眼圧を調整する房水の排出を改善し、眼圧を下げます。術後に眼圧が下がることで、緑内障点眼薬の本数を減らすことが期待できます。
 
当院は既にiStent inject Wのトレーニング講習を修了しており、緑内障を有する白内障の患者様に対してiStent inject Wをインプラントすることが可能です。また、既にその有効性も実感しており、新しい極小低侵襲緑内障デバイスであるiStent inject Wを積極的に行うことで、緑内障の患者様に少しでも貢献できるよう尽力してまいります。
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