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お知らせ・医療ガイド

2024.08.01

お知らせ

当院で新しい低侵襲緑内障デバイス(プリザーフロマイクロシャント)での緑内障濾過手術が可能となりました。

緑内障について プリザーフロ®マイクロシャント

緑内障は日本における失明原因の第一となっています。緑内障では様々な理由で線維柱帯という房水の排水口の流れが悪くなり、目の中に房水が溜まり目の圧力が上がります。それによって眼球の後ろから出ている視神経がだんだん痛んでき、見える範囲が狭くなっていきます。一度失われた視力や視野は現在の医学では元に戻すことはできませんので、早期から適切な治療が必要な疾患です。緑内障治療の選択肢は点眼治療、レーザー治療、手術治療など様々な選択肢があります。

 

緑内障ドレナージシステム プリザーフロ®マイクロシャントの紹介

                
緑内障治療の基本は点眼治療になりますが、点眼治療を行っても眼圧をうまくコントロールできない場合にレーザーや手術などの治療が必要となる場合があります。近年、低侵襲緑内障手術(MIGS:Micro Invasive Glaucoma Surgery)といわれる新たな治療法が開発され、これまでの緑内障治療に変革をもたらしました。ただ、元々の眼圧が高く、低侵襲な緑内障手術では眼圧が十分に下がらない難治な緑内障があります。このような難治な緑内障に対しては線維柱帯切除術という昔からある古典的な手術が必要となります。ただ、術後に多くの場合 眼圧を調整するための侵襲が必要となります。また、合併症も多く、特に低眼圧をきたすと視機能が著しく低下することがあります。この術後の侵襲と低眼圧のリスクを軽減させるためにプリザーフロ®マイクロシャントという新しいデバイスが開発されました。プリザーフロ®マイクロシャントは、従来の線維柱帯切除術とほぼ同等な治療成績を保ちつつ、術後の侵襲と低眼圧のリスクを軽減させることができます。 

全長8.5mm、外径0.35mm、内径0.07mmのチューブ状のデバイスで、冠動脈ステントにも使用される生体反応性が低いSIBS(poly styrene-block-isobutylene-block-styrene)で形成されています。

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より低侵襲に緑内障濾過手術が施行できる器具として承認されました。

 

プリザーフロ®マイクロシャント緑内障ドレナージシステムの特徴とメリット

組織への最小限の侵襲

プリザーフロ®マイクロシャントはこれまでの線維柱帯切除術と違い、術後の眼圧上昇に対してニードリングという縫合糸を切る処置が不要となり、術後の眼球への負担を最小限に抑えます。

生理的流出を改善するためのデザイン

素材は生体適合性が高く、柔軟性があり、操作性に優れます。

高い安全性

プリザーフロ®マイクロシャントは、ステント自体で房水の流出量がコントロールされているため、線維柱帯切除術で高率に生じる低眼圧のリスクを軽減します。

迅速な回復時間

極小侵襲なので手術部位の回復の期間が短く、早期に通常の生活に戻ることができます。

治療成績

臨床試験の結果では眼圧の下降と緑内障治療薬数の低減が示されています。
 

プリザーフロ®マイクロシャントの作用機序:自然な流出路の回復

プリザーフロ®マイクロシャントは生体適合性が高く柔軟な素材で、線維柱帯に埋め込むことでバイパスを作り、房水の流れをよくして眼圧を下げるものです。本デバイスが線維柱帯にインプラントされると、インプラントされた部分から房水が眼外の結膜下に流れるようにデザインされています。強膜切開や広範囲な結膜切開を行わず、なるべく組織を温存することができ、低眼圧のリスクを最小限に抑えつつ眼圧の下降を得ることができます。
 

プリザーフロ®マイクロシャントの治療成績(従来の線維柱帯切除術との比較)













 

 

緑内障手術は近年 目まぐるしい進行を遂げており、iStentなどの低侵襲な緑内障手術が開発され、目に負担をかけずに緑内障の手術が行えるようになりました。ただ、元々の眼圧が高く、iStentなどの低侵襲な緑内障手術では眼圧が十分に下がらない難治な緑内障があります。このような難治な眼圧の高いタイプの緑内障に対しては線維柱帯切除術という昔からある古典的な手術が適応となります。この手術は非常に素晴らしい手術で、これまでこの手術にとって変わるような治療法は開発されてきませんでした。眼圧の非常に高いタイプの緑内障に対してはここ何十年とこの手術方法が用いられてきました。ただ、この手術は術直後に眼圧を下げるための処置などが必要となる手術で、術後に多くの場合 眼圧を調整するための侵襲が必要となります。また、成功すれば非常に眼圧も低い値となり良い手術ですが、合併症も多く手術自体に失明のリスクを孕んだリスクの高い手術となっていました。特に低眼圧はこの手術において多く認められる合併症の一つであり、低眼圧をきたすと視機能が著しく低下することがあります。この術後の侵襲と低眼圧のリスクを軽減させるために開発されたのが、プリザーフロ®マイクロシャントというデバイスです。プリザーフロ®マイクロシャントは、従来の線維柱帯切除術とほぼ同等な治療成績を保ちつつ、術後の侵襲と低眼圧のリスクを軽減させることができます。全ての緑内障が適応となるわけではないですが、安全に手術を行うことができる選択肢の一つとして非常に有用なデバイスです。
当院は既にプリザーフロ®マイクロシャントのトレーニング講習を修了しており、緑内障を有する患者様に対してプリザーフロ®マイクロシャントをインプラントすることが可能です。また、既にその有効性も実感しており、新しい極小低侵襲緑内障デバイスであるプリザーフロ®マイクロシャントを積極的に行うことで、緑内障の患者様に少しでも貢献できるよう尽力してまいります。

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