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お知らせ・医療ガイド

2024.09.01

お知らせ

日本の国内レンズメーカーであるHOYA社のVivinex Gemetric(ビビネックス ジェメトリック)という新しい多焦点眼内レンズが使用できるようになりました

 

多焦点眼内レンズ

白内障手術時に眼内に入れるレンズは、これまで単焦点の眼内レンズのみ使用されていました。しかし、単焦点の眼内レンズを使用した場合、白内障手術後は調節機能がなくなるために焦点(ピント)が1点のみとなります。例えば遠くに焦点が合っている場合には近用の老眼鏡が必要となり、近年普及しているスマートフォンなどの画面を見る際に必ず眼鏡が必要になります。 
この欠点を補うために登場したのが多焦点眼内レンズで、遠近両用眼鏡と理論的には同じで、遠近距離に焦点を合わせることできます。

日本の国内レンズメーカーであるHOYA社のVivinex Gemetric(ビビネックス ジェメトリック)という新しい多焦点眼内レンズが使用できるようになりました

Vivinex Gemetric(ビビネックス ジェメトリック)IOL

我々の生活においてスマートフォンを始めとした電子機器の普及が進んでおり、我々の生活においてなくてはならない必需品になっています。白内障術後もスマートフォンを始めとした電子機器を見るためには、術後に手元から遠くまでをスムーズに見ることが求められる時代になってきています。これまで多焦点眼内レンズはTECNIS Synergy(テクニスシナジー)が最も良いレンズであり、当院では主にTECNIS Synergy(テクニスシナジー)を使用してきましたが、車の運転の際のハローグレアという不快光視現象がやや強く出る傾向にありました。また、TECNIS Synergy(テクニスシナジー)は遠方の見え方をやや犠牲にしつつ、手元33cmまでピントを合わせることができるレンズです。一方でVivinex Gemetric(ビビネックス ジェメトリック)は遠方視力を保ちつつ、近方40cm付近までピントを合わせることができるレンズです。手元の見え方を重視する場合はやはりTECNIS Synergy(テクニスシナジー)を選択した方が良いと考えられますが、車の運転をメインで考えていらっしゃる方や遠方視力をしっかり保ちたいという方はVivinex Gemetric(ビビネックス ジェメトリック)を選択した方が良さそうです。

 

 

2024年8月より日本のレンズメーカーとして有名なHOYA株式会社より日本初の多焦点眼内レンズ“Vivinex Gemetric(ビビネックス ジェメトリック) ”が発売となりました。これまで三焦点眼内レンズは海外製のものしかありませんでしたが、純国産で初めて開発された三焦点眼内レンズです。Vivinex Gemetric(ビビネックス ジェメトリック)の加入度数は中間+1.75 D(約80cm)、近方+3.5 D(約40cm)であり、遠方・中間・手元の3箇所に焦点が合う構造となっています。

 

 
 
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Vivinex Gemetric(ビビネックス ジェメトリック)は純国産だけが特徴ではなく、光学部の中心3.2mm圏内に回折ゾーンを持つため、これまでの三焦点眼内レンズと比較して遠くの見え方を犠牲にせず、中間距離と近くの見え方を確保するための光分配となっています。また、これによってハロー・グレアといった不快光視現象の低減が期待されます。これまでの多焦点眼内レンズは手元の見え方を確保するために遠くの見え方をやや抑えるような構造になっていましたが、このレンズは遠くの見え方をなるべく犠牲にすることなく、バランスよく遠方・中間・手元の3箇所に焦点が合う構造となっています。
 

 

 

Vivinex Gemetric(ビビネックス ジェメトリック)は遠方の見え方を損なうことなく、中間80cm~近方40cmまでに焦点を合わせることができます。一方で、TECNIS Synergy(テクニスシナジー)は焦点深度拡張型レンズ(TECNIS Symfony : 遠くから近くまで幅広く見える=自然な見え方)と三焦点眼内レンズ(TECNIS Multifocal : 遠方、中間、近方の3箇所に焦点があう=良好な遠方・近方視力)の性質をあわせもつことで、近方33cmから中間距離、遠方まで連続してより自然な見え方が可能な眼内レンズです。TECNIS Synergy(テクニスシナジー)に比べると近方の見え方は弱くなりますが、Vivinex Gemetric(ビビネックス ジェメトリック)でも約91%の方が手元を見る際 眼鏡から解放されている結果となっております。

 

Vivinex Gemetric(ビビネックス ジェメトリック)はプリセットタイプであり、眼内レンズを装填する際のレンズの汚染を予防することができます。また他の眼内レンズに比べて小切開でレンズを挿入することができるのが特徴です。実際には、TECNIS Synergy(テクニスシナジー)は角膜切開3.5mmで挿入していますが、Vivinex Gemetric(ビビネックス ジェメトリック)は角膜切開3.2mmで挿入することが可能です。

 

 

 

当院はいち早くこのTECNIS Synergyを導入しており、ご希望される白内障患者様に対して選定療養という保険の仕組みを用いて、このレンズを挿入することが可能です。また、既にその有効性も実感しており、ご希望される患者様に積極的に使用していくことで、白内障手術後に満足のいく視力が得られるよう尽力してまいります。
 
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