News & Medical Guide

お知らせ・医療ガイド

2024.10.22

お知らせ

当院で新しい内視鏡的毛様体光凝固手術(ECP)での緑内障濾過手術が可能となりました。

緑内障について 

緑内障は日本における失明原因の第一となっています。緑内障では様々な理由で線維柱帯という房水の排水口の流れが悪くなり、目の中に房水が溜まり目の圧力が上がります。それによって眼球の後ろから出ている視神経がだんだん痛んでき、見える範囲が狭くなっていきます。一度失われた視力や視野は現在の医学では元に戻すことはできませんので、早期から適切な治療が必要な疾患です。緑内障治療の選択肢は点眼治療、レーザー治療、手術治療など様々な選択肢があります。

 

緑内障ドレナージシステム プリザーフロ®マイクロシャントの紹介

                
緑内障治療の基本は点眼治療になりますが、点眼治療を行っても眼圧をうまくコントロールできない場合にレーザーや手術などの治療が必要となる場合があります。近年、低侵襲緑内障手術(MIGS:Micro Invasive Glaucoma Surgery)といわれる新たな治療法が開発され、これまでの緑内障治療に変革をもたらしました。ただ、元々の眼圧が高く、低侵襲な緑内障手術では眼圧が十分に下がらない難治な緑内障があります。このような難治な緑内障に対しては線維柱帯切除術やプリザーフロマイクロシャントという濾過手術が選択されます。ただ、これらの手術を駆使しても眼圧がコントロールできないさらに難治な緑内障に対する治療方法として、これまで眼外から行う毛様体光凝固術という術式が存在していました。ただ、この術式は房水の産生量を減らして眼圧を下げる手術ですが、眼外から強いパワーでレーザーを照射する必要があるため、房水を産生する毛様体自体を破壊してしまい、眼球自体の維持機能まで破壊して眼球癆にいたるケースがありました。今回新しく開発された内視鏡的毛様体光凝固は眼内にカメラ・レーザー・照明が一体となった国内で初めて承認された装置であり、毛様体ひだ部を内視鏡で観察しながらレーザー治療を行います。グリーンのレーザー波長を用いることでレーザーの深達度が浅くなり、レーザーで照射した毛様体において破壊されることなく適度に房水の産生を減少させることができます。
 

組織への最小限の侵襲

これまで緑内障手術を繰り返し行われた難治な緑内障に対しても有効であり、すでに手術ができないようになってしまっている目の状態に対しても低侵襲でアプローチが可能です。

繰り返し行えるメリット

組織深達度を浅くして毛様体を破壊することなく安全にレーザーが行えますので、再度眼圧が上昇した際にも繰り返しレーザーを照射できるメリットがあります。

高い安全性

これまでの眼外から行う毛用体光凝固に比べて眼球癆のリスクが低く、低眼圧のリスクを軽減します。

迅速な回復時間

極小侵襲で手術時間は約15分ほどですので、早期に通常の生活に戻ることができます。
 

 

緑内障手術は近年 目まぐるしい進行を遂げており、iStentなどの低侵襲な緑内障手術が開発され、目に負担をかけずに緑内障の手術が行えるようになりました。ただ、元々の眼圧が高く、iStentなどの低侵襲な緑内障手術では眼圧が十分に下がらない難治な緑内障があります。このような難治な眼圧の高いタイプの緑内障に対しては線維柱帯切除術や近年新しく出たブリザーフロマイクロシャントという手術が必要となります。この手術は非常に素晴らしい手術で、効果的に難治な緑内障に対しても眼圧を下げることができます。ただ、これらの手術を駆使しても眼圧のコントロールができない更に難治な緑内障に対して、これまでは眼外から行う毛様体光凝固術が唯一の方法でした。ただ、この方法はパワーが強すぎて眼球へのダメージによって低眼圧や眼球癆といった重篤な合併症を引き起こすリスクが高い術式でした。この新しい眼内毛様体光凝固術は、眼内から優しいグリーンレーザーで毛様体を凝固することで適度に眼圧を下げる新しい術式です。これまでに繰り返し手術が行われており、もうこれ以上手術ができないような難治な緑内障に対してもアプローチできる新しい手術であり、既にその有効性も実感しております。これまで何度も手術を繰り返しているような難治な緑内障の患者様に少しでも貢献できるよう尽力してまいります。

 
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